初心者のライフル銃の選択について(用途と口径)その2

これから、ライフル銃を購入をする初心者において、大半の人はどんなライフル銃を購入したらいいのか??馴染みの銃砲店さんにきっと相談されることだろう・・
銃砲店によっては、ここで書いていることと全く違う事を言われるかもしれないが、それは、それとしてここで書いている事は私がこれまでに経験してきた事だ・・

爺の世迷言として捉えられてもよし、爺の戯言として捉えられてもよし、解釈は自由だ!

ライフル銃の選択において、重要な事は「自分の利用目的」をしっかりと定める事が大事だ。

ライフル銃の「利用目的」を定める!という事は公安委員会(警察)への所持許可申請の際にとても重要な事で、初心者のライフル銃の選択について(はじめに)も是非参考にしてもらいたい。

日本国内での大口径ライフルの所持許可は、日本ライフル協会に所属して、競技目的での所持許可または、狩猟での利用目的となるが、日本での一般的な狩猟のシーンでは猪や、日本鹿、北海道においてはヒグマなどがそのターゲットとなると思われる(一部の有害鳥獣駆除をここでは一旦除く)
ライフル銃で、鳥を撃とう?などと思う人はいないと思うけど・・(鳥類はライフルによる捕獲は日本では禁止されている)たまに真面目に・・カモやカワウをライフルで撃とうなどと考えている人もいるのであえて書いておくが、狩猟法では4つ足(猪・鹿・熊)以外をライフルで狩猟する事は狩猟法違反となるし、危険極まりない・・・

前置きが長くなったが、なぜこのような事を書くかというと、ライフル銃が基本となるのではなくて、その目的に応じたライフル装弾におけるライフル銃の選択が重要となるためだ!

自分が使うライフル装弾に応じて銃は適切に選択する必要があり、「使う弾の選定が最優先で、てっぽーは二の次!」なのだ、どんなに苦労して入手したライフル銃でも、使える装弾が入手しづらかったり、入手できたとしても1発が有名ラーメン店のラーメン一杯くらいの価格だったりすると、射撃場での練習すらままならないだろうし、維持するのが大変となり、結局使わない銃になってしまう。鑑賞目的での所持許可は御法度なので、使用実績がない銃は更新の際に返納を求められることになるだろう・・

カッコいいからと、大排気量の高級外車を無理して買ってみたものの、ドカ食いするハイオクガソリンや、高額な自動車税、保険料、修理費、車検費用などで維持ができなくなり、いずれ手放してしまうのとどこか似ている・・・笑

日本国内で、広く入手が簡単なのは、308Winchester(通称 れいはちや、まるはちと呼ばれる)が最も入手しやすく銃砲店はもとより、射撃場でも既成装弾として購入できる場合が多い。既成装弾を購入する際のコストとしても、実包20個入りのボックス版で、一箱6000円くらいから入手でき、1発の単価としても280円程度が目安だ、(金額は国内での目安なので、より安い場合もあるし、より高いこともある)またリローディングをした場合も、比較的安価にリローディングすることが可能で、構成する弾頭や、パウダーなどの種類によっても変わるが、大体1発120円くらいからリローディング可能だ。

ライフル銃本体においても308Winが最も広く普及しており、吊るしの銃のブランドとして、レミントン、サコー、サワー、マンリッヒャー、などなど大抵のブランドの銃で入手が比較的簡単だ

次に国内で比較的多いのが、30-06 Spring field(通称、れいろくと呼ばれる)であり、北海道での蝦夷鹿猟などでは、308win(れいはち)だと威力が不足するため、薬量が多い 30-06(れいろく)や、マグナムの300WinMagなどだろう。ライフルの事をよくわかっている人は、7mm Remington Magnum(通称、7ミリと呼ばれる)を使っているのも時折見かける。何故ならば、7ミリの小さい弾頭を大容量の薬量で秒速3000フィートをゆうに超える弾速で撃てるからだ!!

また、222Rem、6.5Creedmoor、243Winchesterなど小口径の装弾も存在する。近距離での狩猟やわなに掛かった獲物の止め刺しなどではよく使われていた、経緯もあり、銃もコンパクトで軽いのが特徴で、ファクトリー実包も比較的安価に入手が可能だ

長距離(300メートルを超える)の蝦夷鹿猟やヒグマなどの大物猟において使う、338 Lapua Mag がある。日本でのライフル猟銃として最大口径の8.65mmの弾頭を高速でフラットな弾道で撃ち出す事が可能だ!もともとは米海兵隊(ネービーシールズ)の狙撃銃として1500メートルを超える長距離狙撃を目的として開発されたのが始まりだが、今は広く民生用としても長距離射撃による大物猟を目的として日本国内でも許可されている。

こう言うことから、まずは・・

1)用途  ・・ 狩猟・標的射撃(国内では300メートル迄の練習射撃という扱いになる)
2)対象獲物・・ 猪・日本鹿・蝦夷鹿・ヒグマ
3)距離  ・・ 数十メートル 〜 数百メートル
4)装弾  ・・ 銃砲店による既成装弾を買う・ハンドロード・リローディング

普段のご自分の狩猟シーンを想定して、利用を想定するライフル装弾を決めたら、初めて銃を選択するシーンに移行する事が失敗しないはずだ。

もちろん、用途・目的ごとにライフル銃を数本購入するのもありだ!ただしその場合、所持許可申請において、実猟での実績、射撃場での射撃練習の状況(猟銃用火薬譲受許可の申請実績と火薬の消費実績、射撃場の利用証明書など)・有害鳥獣駆除隊での活動など、公安委員会を納得させるだけの材料が揃っていれば、ライフル銃の複数所持は許可される可能性は高い。

次は、30口径以上のカートリッジの紹介をしていく予定なので、乞うご期待!!

リローディング(薬莢洗浄について)

ライフル銃のカートリッジをリローディングするさいに、最初にやることのひとつとして、プライマー(雷管)の除去とネックを絞った後に、まずは洗浄することが重要となる。

使用済みのケースには、火薬が燃焼したあとの煤などの汚れがついており、またネック部分も汚れたりしていて、そのまま再利用はネックのひび割れなど発見できずにとても危険だ。

しっかりと、洗浄することによってピッカピカになり、気持ちがいいと言うのもあるが、ネック部分の割れ、ケースの歪みなどを目視で把握する際にとても重要で、プライマーホールと言われる雷管を装填する部分の汚れも再装填する際に汚れが抵抗となり、まっすぐとプライマーが入っていかないこともあり精神的によくない。

なので、リローディングにおいては、この洗浄の工程がとても重要となりこれをおろそかにするシューターの弾がよく当たっているのを見たことはない・・・
もちろん、数十メートルの距離で猪や、鹿などを捕獲することが目的のハンターの場合は、制度ではなく、いかに安価に再利用するかが目的であり、手間をかけないのが特徴だ。

もちろん、銃にもよくないことばかりで、薬室はいずれ火薬の煤でまっくろくろすけになっているだろう・・・どんなに精度が高いライフル銃でも装弾に手抜きされていれば、結果もそれなりだと私は思う。

この洗浄をするには、いくつか方法があり古くから伝統的??に使われてきたのが、くるみを砕いたメディアを入れた、ターボタンブラーだろう。このタンブラーは薬莢をいれて最低でも半日から1日はタンブラー内でくるみの殻や粉で磨き上げるタイプのものだ・・音もうるさく振動もするので、静かな空間では使いづらい・・・

超音波(メガネを超音波洗浄するような)洗浄機もよく使われているアイテムだが、一度に洗浄できる数が限られ、私のように一度で最低でも100発くらいのケースを洗浄する場合は面倒だ・・しかし、この Lyman Cycrone Rotary Tumblerであれば、長くても1時間以内で終わるし、ステンレスのピンを混ぜて洗浄剤とともにドラムの中で洗浄するので、中も外もプライマーポケットも綺麗になるのが早いと言う特徴がある。ドラム式洗濯機を想定すればわかりやすいかもしれない・・・笑

リローディング

ライフル銃で使用する実包(カートリッジ)を再利用するリローディングについて書いてみる
その目的については、命中精度を高める、リローディング入門の記事も参照して頂ければ嬉しい

一度使用したライフル弾は薬莢部分が残るのは、映画やテレビなどでご覧になった方も多いと思う。

300WinMag薬莢 銃は玩具

その薬莢を再利用して、新たな装弾を作ることをリローディングと言う。ハンドロードとも言われたりするが、厳密に言うと新しい弾を構成する4つの材料を集めて弾を作成することをハンドロード、一度自分の銃で撃った薬莢を再利用してより正確な弾にすることをリローディングとしている。

市販されているライフル既成装弾は適合するどんなライフル銃でも使えるようになっており、箱から出してすぐ使えるというお手軽さが魅力だが、ファクトリーにて大量生産されるので製造公差もあり、集弾性に欠けるという特徴がある。

1年を通して100発も撃たない、近距離での狩猟などでは既成装弾がお手軽でもあり、わざわざ面倒なリローディングをするよりコストも安いし、警察での猟銃用火薬類等譲受許可をもらうときも実包の数量申請だけで済み、50発以内の購入なら狩猟登録の際に所属の猟友会から猟銃用火薬類無許可譲受にハンコ貰えば猟期内に限り銃砲店から購入が可能だ。
※銃の所持許可を公安員会より受けた人しか購入はできない・・

日本の銃砲店で購入できる既成装弾

300メートルを超えるロングレンジシューティングの場合は、リローディングした装弾を使わないと、まず狙ったところにはあたらない・・・

なぜならば、市販の既成装弾には先に述べたように適合するどんな銃にも使えるように作ってあるので、銃の薬室とカートリッジの間にはわずかながら隙間があり、弾頭も短くシーティングしてある。なので銃の薬室の中でわずかながらガタがある状態で装填されることになる。

ライフル銃のカートリッジ(薬莢)は、撃発時の火薬燃焼による膨張圧がカートリッジ内部にかかり銃の薬室にピッタリと隙間なく張りつきながら火薬が燃焼し、弾頭を押し出すことになる。

なので、使用前の薬莢と使用後の薬莢の胴径サイズは異なり、わずかながら大きくなるのが普通で、その薬莢を同一種の他の銃に入れても入らないか?緩いか?入っても固くてボルトが閉まらないのがほとんどだ。何故ならば銃そのものも薬室に製造公差があるのでそのような状況になる。

つまり、自分の銃で撃ったカートリッジ(薬莢)は自分の銃にピッタリと合うサイズになってくれるのだ!

長距離での射撃においては、これがとても重要で、このカートリッジ(薬莢)を再利用(リローディング)すると、銃の薬室の中でガタもなくなり、発射時にカートリッジがぶれることなく燃焼し弾頭を押し出せるので、より正確(集弾する)な弾となる。

もっと突き詰めると、弾頭のシーティングにおいてライフリングとのランドタッチと言う、ある意味、宗教的な説もあるがこれについては、どれが本当なのかは未だ不明瞭な部分も多い。自分の銃で最もまとまる(集弾する)深さ(弾頭のシーティング寸法)をOALゲージを使い測定した値を基本に、射撃場においてシート量を変えた弾を複数作成し、射撃場にてデーターをとりながら、もっとも良い集弾するシート量を探るしか方法はない。

すなわち、300メートルを超えるロングレンジシューティングの場合は、自分の銃にぴったりとあった弾をリローディングして使うことがとても重要となる。

ライフル弾のリローディングアイテムについて紹介している

動画では、リローディング・ハンドロードをするためのアイテムなどについて紹介している。

ソルトバスアニーリング

大口径ライフルのハンドロード、リローディングにて、命中精度の向上のために薬莢のアニーリング(焼き鈍し)という重要な工程をご紹介しよう。

ライフルの装弾には、市販の既成弾の場合どんな銃にも使えるように、決められた較差のなかで作られている。実際にはその既成寸法は自分の銃の薬室とはわずかに小さいので、薬室の中で激発時にわずかにケースがぶれることがある。そのような状態でのロングレンジシューティングには集弾製が期待できない要因のひとつとなる。

ところが、一度でも自分の銃で使用した場合、自分の銃の薬室の寸法に薬莢は広がるので、2回目の再利用にて雷管、パウダー(無煙火薬)、弾頭にてハンドロードすると、その装弾は自分の銃にぴったりとなっているので、命中精度が向上する。


その、ハンドロード・リローディングにおいての薬莢は重要なアイテムとなるので、その薬莢に焼き鈍し(アニーリング)を入れる事で、薬莢の寿命増加、命中精度を格段にアップさせることができ、ケースの再利用回数を増やすことができる。

そのソルトバスアニーリングの具体的な作業工程を動画に纏めたので要点を書いておく

このソルトバスアニーリングキットは、Lee製のメルター、温度計、30口径用のガイド、特殊な配合で作られた融点が高いソルトで構成されている。

ソルトの液体が、Leeのメルターの湯船のような炉の中で溶けた状態なのでソルトバスと呼んでいる?と勝手に解釈している・・笑

メルターにソルトを入れて、30分ほどで300度近くまであがりソルトが溶けて液状になる、温度計の温度が520℃くらいになったらアニーリングが開始できる温度だ

非常に高温の液体(ソルト)に薬莢を差し込み5〜7秒ほどソルトに浸したら、薬莢の色がレインボーカラーみたいに変色するので、そのままバケツに入れた水へと放り込み急速冷却をする。材質が真鍮なのでゆっくりと冷却すると余計に固くなる性質があるために、熱を加えて真鍮の金属分子を揃えたら、さっ!と水風呂に入れることで真鍮の材質を柔らかくすることが可能だ!この様子を以下の動画にてご覧になれるようにしているので、参考にしてほしい

ソルトバスアニーリングの様子

なお、このキットは国内では私の射撃場友達が唯一国内でハンドリングしている!
気になった読者は私を探し当ててくれると、紹介するので是非とも探してみてほしい・・

ちなみに、日本国内での参考価格はおよそ4万円ほどだ!!決して安くはないが、338ラプアなどの一個あたり、500円する薬莢のリロード回数を2〜3回から、5〜6回へと倍の寿命にしてくれるし、308ウィンチェスターなどもリローディングしやすいケースへと変貌するので長い目で見ればそこまで高価な出費ではないと思う