リローディング入門 コンペティションダイスについて

ライフル実銃のハンドロード・リローディングをこれから始めようと言うハンターの貴方、もしくは既に経験はあるけど、コンペティションモデルのダイスを購入しようか?悩んでいる貴方へ向けた、米レディング社のType-S コンペティションダイスを紹介してみよう。

ハンドロード・リローディングに必須のダイスには、一般的なダイスセットにあるようフルダイ・ネックダイ・シーターダイの主に3つのダイスを活用して装弾を作成することになる。

安価に、装弾をリローディングすれば良い!という方向けには不要のアイテムであるので、本ブログの記事は読むだけ時間の無駄なので、もっと安価な方法を書いている他の記事を探す方が懸命なのであらかじめ申し上げておく。

私のライフル装弾における、リローディング・ハンドロードスタイルは他の記事でも書いているように、ロングレンジ射撃において、狙ったところへしっかりと到達できる正確なライフル装弾の作成を前提としているので、リローディング・ハンドロードに関する道具のコストはある意味度外視している。

ひとまずは、ライフル実銃におけるリローディング入門の中級編としてライフルダイスについて動画を作成したので、先に公開している。

ライフル実銃におけるリローディング入門動画

ライフル用のダイスについては、私が日頃愛用しているアメリカのレディング社のコンペティションダイスを紹介している。日本では銀座銃砲店などにて簡単に購入できるが、カートリッジの種類次第では入手できないものもあるので、事前に確認してほしい。

動画では、300 Winchester Magnum における、フルレングスダイ、コンペティションブッシングネックサイジングダイ、コンペティションシーターダイについて3本のダイスについて、その構造と、特徴などを纏めている。

1)Redding Full length sizing Dies
日本語だと、一般的にはフルダイと呼んでいる。レディングにはこの一般的なフルダイの他にコンペティションブッシングフルダイというネック部分をブッシングにてサイジング可能なフルダイも準備されている。

通常のフルダイ300WinMag(左)ブッシングを使うフルダイ338LapuaMAG(右)

フルダイとは一体??何なのか? 一般的にこの世界でフルダイと呼ばれるものは、対象とするカートリッジの基本的なサイズに形成する為のダイスである。
例えば、使用した銃と、リローディングして使う銃が異なる場合・・・
もっと簡単に言うと、既成装弾(市販装弾)を購入したお友達が使用していた。使い捨てにしていたような(笑)308Winのケースを・・「いらないのであげるよ!」みたいな感じで貰ってきて自分の銃にリローディングして使う場合の最初がそうだ・・笑

自分の銃で使うためには、既成(市販)装弾と同様な状態のケースサイズにして自分の銃で一度は撃たないと、自分の銃にマッチしたケースにはならない。

2回目(実際は3回目かもしれない・・ww)からは自分の銃にピッタリとフィットしているはずなので、ネックだけを絞ってリローディング(再利用)可能だ・・
そういう、2回目以降でのケースのサイズを変えずにネックだけを絞って、再利用する際に必要なダイスをネックダイと呼んでいる。

300WSM用のブッシングネックサイザー(左)通常のネックサイザー(右)

リローディングにおいて、ネックサイザーをフルダイにて流用しているケースも散見されるが、確かに規定の寸法にはできると思うが、自分が使用するブレット(弾頭)にちゃんと合わせようとすると、その手法はかなり乱暴な方法だと考えている。

ネックダイスにおいて、ネックサイズを微調整する方法として、ブッシングを利用したものがある。ブッシングは様々な寸法のものがあるが、だいたい自分のケースネックの前後3つくらいのサイズがあれば十分だ

ブッシング(銀色がスチール製・金色がチタン合金製)チタン合金性が錆びず寿命が長い

コンペティションブッシングネックサイザーは、このブッシングでネックの外径寸法を決めて、ダイの頭にあるマイクロメーターにてネックの先端からどれくらいを絞るか?までを設定することが可能だ・ちなみに私はネックの根元まで深く同一のサイズに絞っている。

リローディング・ハンドロードの最後の工程が、シーティングと呼ばれる弾頭を取り付ける作業だ、この弾頭はただ嵌めればいいわけではなく、自分の銃のAOLに応じた長さを決めてケースに差し込む長さ(シート長)で弾頭を取り付ける必要がある、その場合、ケースを含めた全長で長さを決めることが一般的だが、そのシーティングの際にとても役立つのがマイクロメーターで長さを決めることができるので、シーティングダイは必ずマイクロメーターがついたものを選択した方が無駄な投資にはならないのでコンペティションタイプをお薦めする。

リローディング

ライフル銃で使用する実包(カートリッジ)を再利用するリローディングについて書いてみる
その目的については、命中精度を高める、リローディング入門の記事も参照して頂ければ嬉しい

一度使用したライフル弾は薬莢部分が残るのは、映画やテレビなどでご覧になった方も多いと思う。

300WinMag薬莢 銃は玩具

その薬莢を再利用して、新たな装弾を作ることをリローディングと言う。ハンドロードとも言われたりするが、厳密に言うと新しい弾を構成する4つの材料を集めて弾を作成することをハンドロード、一度自分の銃で撃った薬莢を再利用してより正確な弾にすることをリローディングとしている。

市販されているライフル既成装弾は適合するどんなライフル銃でも使えるようになっており、箱から出してすぐ使えるというお手軽さが魅力だが、ファクトリーにて大量生産されるので製造公差もあり、集弾性に欠けるという特徴がある。

1年を通して100発も撃たない、近距離での狩猟などでは既成装弾がお手軽でもあり、わざわざ面倒なリローディングをするよりコストも安いし、警察での猟銃用火薬類等譲受許可をもらうときも実包の数量申請だけで済み、50発以内の購入なら狩猟登録の際に所属の猟友会から猟銃用火薬類無許可譲受にハンコ貰えば猟期内に限り銃砲店から購入が可能だ。
※銃の所持許可を公安員会より受けた人しか購入はできない・・

日本の銃砲店で購入できる既成装弾

300メートルを超えるロングレンジシューティングの場合は、リローディングした装弾を使わないと、まず狙ったところにはあたらない・・・

なぜならば、市販の既成装弾には先に述べたように適合するどんな銃にも使えるように作ってあるので、銃の薬室とカートリッジの間にはわずかながら隙間があり、弾頭も短くシーティングしてある。なので銃の薬室の中でわずかながらガタがある状態で装填されることになる。

ライフル銃のカートリッジ(薬莢)は、撃発時の火薬燃焼による膨張圧がカートリッジ内部にかかり銃の薬室にピッタリと隙間なく張りつきながら火薬が燃焼し、弾頭を押し出すことになる。

なので、使用前の薬莢と使用後の薬莢の胴径サイズは異なり、わずかながら大きくなるのが普通で、その薬莢を同一種の他の銃に入れても入らないか?緩いか?入っても固くてボルトが閉まらないのがほとんどだ。何故ならば銃そのものも薬室に製造公差があるのでそのような状況になる。

つまり、自分の銃で撃ったカートリッジ(薬莢)は自分の銃にピッタリと合うサイズになってくれるのだ!

長距離での射撃においては、これがとても重要で、このカートリッジ(薬莢)を再利用(リローディング)すると、銃の薬室の中でガタもなくなり、発射時にカートリッジがぶれることなく燃焼し弾頭を押し出せるので、より正確(集弾する)な弾となる。

もっと突き詰めると、弾頭のシーティングにおいてライフリングとのランドタッチと言う、ある意味、宗教的な説もあるがこれについては、どれが本当なのかは未だ不明瞭な部分も多い。自分の銃で最もまとまる(集弾する)深さ(弾頭のシーティング寸法)をOALゲージを使い測定した値を基本に、射撃場においてシート量を変えた弾を複数作成し、射撃場にてデーターをとりながら、もっとも良い集弾するシート量を探るしか方法はない。

すなわち、300メートルを超えるロングレンジシューティングの場合は、自分の銃にぴったりとあった弾をリローディングして使うことがとても重要となる。

ライフル弾のリローディングアイテムについて紹介している

動画では、リローディング・ハンドロードをするためのアイテムなどについて紹介している。

ソルトバスアニーリング

大口径ライフルのハンドロード、リローディングにて、命中精度の向上のために薬莢のアニーリング(焼き鈍し)という重要な工程をご紹介しよう。

ライフルの装弾には、市販の既成弾の場合どんな銃にも使えるように、決められた較差のなかで作られている。実際にはその既成寸法は自分の銃の薬室とはわずかに小さいので、薬室の中で激発時にわずかにケースがぶれることがある。そのような状態でのロングレンジシューティングには集弾製が期待できない要因のひとつとなる。

ところが、一度でも自分の銃で使用した場合、自分の銃の薬室の寸法に薬莢は広がるので、2回目の再利用にて雷管、パウダー(無煙火薬)、弾頭にてハンドロードすると、その装弾は自分の銃にぴったりとなっているので、命中精度が向上する。


その、ハンドロード・リローディングにおいての薬莢は重要なアイテムとなるので、その薬莢に焼き鈍し(アニーリング)を入れる事で、薬莢の寿命増加、命中精度を格段にアップさせることができ、ケースの再利用回数を増やすことができる。

そのソルトバスアニーリングの具体的な作業工程を動画に纏めたので要点を書いておく

このソルトバスアニーリングキットは、Lee製のメルター、温度計、30口径用のガイド、特殊な配合で作られた融点が高いソルトで構成されている。

ソルトの液体が、Leeのメルターの湯船のような炉の中で溶けた状態なのでソルトバスと呼んでいる?と勝手に解釈している・・笑

メルターにソルトを入れて、30分ほどで300度近くまであがりソルトが溶けて液状になる、温度計の温度が520℃くらいになったらアニーリングが開始できる温度だ

非常に高温の液体(ソルト)に薬莢を差し込み5〜7秒ほどソルトに浸したら、薬莢の色がレインボーカラーみたいに変色するので、そのままバケツに入れた水へと放り込み急速冷却をする。材質が真鍮なのでゆっくりと冷却すると余計に固くなる性質があるために、熱を加えて真鍮の金属分子を揃えたら、さっ!と水風呂に入れることで真鍮の材質を柔らかくすることが可能だ!この様子を以下の動画にてご覧になれるようにしているので、参考にしてほしい

ソルトバスアニーリングの様子

なお、このキットは国内では私の射撃場友達が唯一国内でハンドリングしている!
気になった読者は私を探し当ててくれると、紹介するので是非とも探してみてほしい・・

ちなみに、日本国内での参考価格はおよそ4万円ほどだ!!決して安くはないが、338ラプアなどの一個あたり、500円する薬莢のリロード回数を2〜3回から、5〜6回へと倍の寿命にしてくれるし、308ウィンチェスターなどもリローディングしやすいケースへと変貌するので長い目で見ればそこまで高価な出費ではないと思う